魚の見る夢 全2巻 – 小川麻衣子

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姉妹百合作品(義理ではなく実姉妹)。百合っていったら、めんどくさいレズの愛憎と執着と嫉妬でしょうと言ってはばからない人(そうです、私です)には多分向いてる。こういうあっさりした絵柄好きなのだが、ストーリーの緊張感とのギャップで余計に印象的である。

御影と巴は理由あって二人姉妹の二人暮らし。朝起きて首輪がつけられてたって日常茶飯事…ではないけれど、勉強と友達(曲者多し)と手作りご飯にまみれてすごしてる。お姉ちゃんだから自分のものにしたいのか、妹だから身が焦がれるほどに心配なのか、健全だけど不健全な小川麻衣子の描く新境地インモラルストーリー – まんがタイムきらら

説明文にインモラルストーリーってあるけど、近親相姦のことインモラルっていうの、ネット上の特定の地域のローカル表現でなくて、もしかして普通なのかな。

元々は2012年と2014年に出版されたものだが、近日ようやく2巻の電子書籍版が出ておすすめされていたのを見て読んだ。掲載紙の『つぼみ』が休刊したり復活したりして結局コミックスで完結という、リアルタイムで見てた人には追うのが大変な状態だったらしい。

当初はごくまっとうな姉・巴に執着する妹・御影って感じで始まるのだが、だんだん御影が浄化されていくにしたがって「あれ?もしかして巴の方が……」という印象になっていく。浮世離れしてる感凄いお父さんが「巴は自分似」って言ってたが、確かにそんなところあるかもしれない。やっぱりサイコレズにまとわりつかれたりするあたりにも表れているのかな。その点高柳ちゃんはめっちゃいい子だった(ので傷つく役を被った感じがするが……)。

結局タイトルが示しているものがよく分からなかった。御影が嫌う人混みのことを、英語だと単複同形でどっちもfishになるくらい群れで生活する魚に例えてるのかなぁとか最初思ったけど、冒頭の夢とエピローグの『透明な水の底にいるみたいで~』のあたりから見るに、『息苦しさ』とかその辺が関係してるんだろうな。

最後は姉妹で一緒に歩き出すラストだが、この後この二人でくっつくかどうかも分からない。二人ともそれぞれ男を見つけて、正月と盆くらいでしか会わない普通の姉妹になるような気もする。百合好きにはそういうのは邪道なのかもしれないが、私はそういうのも好きなんだよな。作者があとがきで書いている『百合といいつつ、テーマは「家族の再生」でした』はその通りだと思う。

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