ネットは基本、クソメディア – 中川淳一郎

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2017年7月10日発行。2016年末にDeNAのWELQを中心に起きたキュレーションメディア問題を通して、マネタイズによって信頼性が無くなってしまったインターネット上の情報についての現状を新書サイズでまとめた本。近年のネットメディア事情がコンパクトにまとめられている。

WELQに端を発するキュレーションサイトの問題をDeNA報告書と10年以上のネット編集の実体験から解説。もはや「マスメディア」となった2017年におけるネットの現実を示した上で、身を守る術を紹介する。 – 角川新書

私ははてなブックマークのユーザーということもあってか、この問題が吹き上がってから話題になったものは一通り見てきた人間である。なので内容は基本的には既知のものとしてさらっと読むことが出来た。だがそれでも書籍の形で一つにまとめられていることは重要であると感じる。私は、この本の中にも何人か出てきた「インターネットの可能性を信じていた人間」の1人であったが、今はもうあまりそういうことを考えていない。

短くまとめるのならこの問題は、インターネット上で文章を書くことがマネタイズの方法として使えるということを知った企業群が、とにかく金儲けに走った結果起きたものである。著者はインターネットメディアに関わっている人物であり、内部でどういう状況であったのかを自分の体験を通して

こうした経験から一部のIT企業及びネットメディアにはコンテンツ制作へのリスペクトがないということを改めて理解した。あくまでもPVを稼ぐ手段としてコンテンツを制作しているだけで、内容はどうでもよく、とにかくアクセスをされることを重視する姿勢があることが見て取れた。被害者面をするつもりはさらさらないが、これが書き手にIT企業が強いていた状況であることをまず理解していただきたい。

と結論付けている。著名な企業に就職できた優秀な人々の出した正解がこんな稚拙なものであったという事実はただただ虚しい。リーマンショックでもそうだったが、倫理上の問題があってもマネタイズできるというだけで彼らはどんどんそちら側に向かっていってしまう。

そして、改めて強調するが、DeNAが今回はやり玉に挙がったが、決してこれはDeNAだけの問題ではない。あくまでも一部上場企業であり、プロ野球球団を持つこともあって本来信頼性が高いとされた同社がやらかしたことだからこそ、糾弾しやすかったし、コンプライアンス上の問題を一斉に指摘できたのだ。 これほどの「一流企業」という叩きやすい存在だったがための大騒動であり、スケープゴートになった感は否めない。

文中で何度か触れられている通り、これはDeNAだけの問題ではない。医療という人命に関わる問題であるからそこが吹き上がったが、彼らが居なくなった後も相変わらず、芸能人のゴシップや根拠に乏しい美談がネット上には溢れている。そして情報リテラシーに乏しい人たちはこれからもそれを広めていくのだろう。私にできるのはそれに与しないこと、そして願わくば情報の信頼性に重きを置くメディアが現れてくれることを祈るぐらいだろう。

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