この世界の片隅に

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第二次世界大戦中に生きる女性の日常を描いた、こうの史代の漫画のアニメ映画化。クラウドファンディングで出資を募ったというアニメでは珍しい経緯も話題になった。

作品を巡る周囲の動き

本作品はクラウドファンディング(サイバーエージェント・クラウドファンディング社が運営するMakuake)で出資を募ったという珍しい経緯がある。当初は2,000万円を目指していたが期間中にそれ以上の額が集まってプロジェクトのスタートが決定、最終的な結果として3,374人から39,121,920円の金額が集まったことが出資プロジェクトのページに記されている。なお、この出資金額は国内の映画部門において最大である(Makuakeのプレスリリースより)。

また、芸能界のゴタゴタで芸名を「のん」に変えなければならなくなった能年玲奈が主人公すず役の声優を担当している。このことで本作の広報が思ったより少ないことに、彼女が芸能界で干され気味であることが関係しているのではないかという話題が放映一週間くらい前に話題になっていたことがあるのだが、クラウドファンディングで出資を募った作品がそれに使える金額は限られているので穿ち過ぎという印象である。なお芸能人が声優をやることに関してあまり賛成していない私であるが、実際に見てみたらすずの「なんか垢抜けない」感じにピッタリの配役であった。

アニメ化に関して

アニメにした意義は中盤の戦争のシーン以降から主に感じる。例えば絵を趣味にしていたすずが起こっていくありさまを絵画の出来事のように描写するシーンを再現しているが、これを動画にするのに実写は向かないだろう。

こうの史代はスクリーントーンを殆ど使用しない作家なので、原作を読んでいても色があまり明確に分からないところがあるのだが、絵柄はそのままに色を付けることでこういう色彩だったのか!と分かる所がある。例えば結婚の申し出に来た北條父子がすずに道を尋ねているシーン、すずが被っている着物の色が明らかに晴れ着にしか使わないようなピンク色で、「着物と分からずともこんな色の布を道端で被ってたら、こりゃ変な女と見られてもしゃあないな……」という印象が強くなる。

感想

原作を直前に読んで予習して行ったわけだが、読んだのに読み取れていなかったことが結構多かったことに気付いた。径子のなんか甘いといいながら飲んだ水が砂糖水だったとか気付かなかった(我ながら酷い……)。あと、周作とすずが合うきっかけになった人さらい、描写から鬼いちゃんに関連しているらしいことにも気づかなかった。終盤に原作では出てこなかったワニが出てくるので答えあわせを貰った感じである。

原作からは主に白木リン関連の描写がカットされている。周作とかつて関係があり、すずがそのことでショックを受けるくだりが無い。また周作から貰った手帳の一部が四角く切り取られていたり、アニメでは登場しないテルの遺品である口紅が前置き無しで出てくる一方で壊れる描写もあるので、未読者には不思議に思われるかもしれない。

それなら全部カットしたほうが混乱が無いんじゃないかなぁと思うのだが、「この世界から居場所がなくなることは無い」というタイトルにも関わってくる発言をしているので無暗にそういうことは出来なかったのかもしれない。

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