ポリティカルコレクトネスによって人々の考えはますます誰にも把握できなくなる

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(日付的には前日となるが)本日、米国の大統領選挙が終決、次の大統領はヒラリー・クリントンを破ってドナルド・トランプが当選した。本サイトは主に作品への感想などを書くブログなので、政治に関することへの言及は基本的に避けたいのであるが、本事件を通してメディアとそれを見る人間の関わり方を中心に考えたことをここに書いておきたい。

ポリティカルコレクトネスによって誰も意見を言わなくなっていくだろう、というお話。この先のSNS等のネット文化にも関係してくる話題である。

本選挙の結果を地すべり的と呼ぶべきか考えている。アメリカの新聞やテレビ局は日本と違い、支持する政党や候補を明示するという傾向があるが、9割以上のメディアがヒラリー・クリントンの支持を明言していた。また、事前調査のニュースではヒラリーが優位であるということで概ねどの媒体も一致していた。

ところが実際にはドナルド・トランプが当選した。この事実はすなわち、「女性や外国人への蔑視を中心に反ポリティカルコレクトネスとも呼べる発言や行動を繰り返していた彼に票を投じる一方で、今日この日までそれを表には出さなかった人間」が多くいたことを意味している。つまりメディアは米国民の真意を全く汲めていなかったのである。

トランプが当選した理由はいくつもあるだろう。例えばその理由の一つとして、前述のメディアとそれに煽られた人間が、トランプ本人だけではなくトランプを支持していた人間をも「下層民」「レイシスト」と馬鹿にしていたことも大きいはずだ。トランプの勝利が決まってもまだそういった事実を理解していない人々は山ほどいる。「トランプは明らかに富豪側の人間で貧困層の味方ではない。あいつらおかしいぞ」というような意見が散見されるが、そういう人には結果が決まってもなおそんなふうに馬鹿にするような態度を取られていることが彼に一票を投じる後押しになってしまったことは理解されない。

そしてトランプ支持を言い出さなかった理由の一つもそのあたりにあるだろう。ポリコレという考えが周知された現在、もはやネット上の匿名ですら人々は攻撃を恐れて本音を言わなくなった。トランプを攻撃する「正しい」意見ばかりが目に入る状況が続くが、選挙となった今、彼らはその真意をトランプへの投票という形で世に示したのである。

メディアが調べたい人々の考えが、こういった理由で雲隠れになるこういった傾向はこれだけでは決して収まらない。今回の流れは既に英国がブレグジットで示した例と同じだ。離脱などあるわけが無い、とメディアは言っていたが、実際にはEU離脱が決定した。本心を決して表明せず、選挙の様な決定的な場面で初めて真意を見せるのである。こうした人々がどう思っているのか、メディアはどんどん汲み取れなくなっていくだろう。

選挙決着前、「たとえヒラリーが勝利しても、トランプを支持した人間が大勢いた事実は変えられまい」と考えていたのは私だけではないはずだが、事態はもっと深刻だった。トランプの勝利が正しい結果であったかどうかは不明であるが、それがどうあれもしここで勝たなければ、現状に不満を持ち彼に票を投じた人々の意見に目が向けられることはなかっただろう。

さて、本事件で(行き過ぎた)ポリティカルコレクトネスの様な「正しさ」への反感はもはや世界的なものであると周知されたように思うが、この先はどうなるだろうか?国の趨勢を決めるような大きな事柄だけではなく、私が普段見るようなSNS上の会話にも関わってくると思うのだが……。

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