ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

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ペンタゴン・ペーパーズとは、ベトナム戦争が敗北する可能性が高いことを事前調査で知っていたにもかかわらずそれを隠して戦争を始めた事実が記載された国防総省の最高機密文書。1971年にこれが内部告発者から報道を通じて暴露されるも、政府は機密情報の流出であるとして弾圧を始める。報道と政府の戦いを扱ったノンフィクション。

ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国民の間に疑問や反戦の気運が高まっていた1971年、政府がひた隠す真実を明らかにすべく立ち上がった実在の人物たちを描いた。71年、ベトナム戦争を分析・記録した国防省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在を、ニューヨーク・タイムズがスクープする。ライバル紙でもあるワシントン・ポスト紙の発行人キャサリン・グラハムは、部下で編集主幹のベン・ブラッドリーらとともに、報道の自由を統制し、記事を差し止めようとする政府と戦うため、ニューヨーク・タイムズと時に争いながら連携し真実を世に出すため奮闘する。 – 映画.com

過激な発言を繰り返しながらも発足したトランプ政権への危機感から、政府監視への啓蒙としてスティーヴン・スピルバーグが猛スピードで製作したノンフィクション映画。(何年後かに見られるかもしれない記事にあんまり時事ネタ入れるもんじゃないなとは思うものの)日本政府が今まさに森友学園問題で公文書を改竄していたことが明らかになって紛糾している真っ最中なので、国を問わない普遍性をなおさら強調されて見ることになった。

泥沼状態となったベトナム戦争であるが、実は米政府は事前にシンクタンクであるランド研究所に戦争になった場合の勝利の可否の調査をさせており、既に「どう頑張っても勝てるわけがない」という報告を受け取っていた。ところがこれを受けていたにもかかわらずアメリカは戦争に踏み切り、彼らが警告していた通りの敗北を喫することになった。

米政府はこの事実を国民に対して隠していたが、ランド研究所に勤めていたダニエル・エルズバーグが調査結果をNYタイムズに流出させてスキャンダルに。ホワイトハウスはこれを機密情報の流出としてニューヨーク・タイムズを起訴する動きを見せる。同じく文書を手に入れたワシントン・ポスト社もまたこれを報道しようとするが、社長であったキャサリン・グラハムがマクマナラ国務長官と個人的な知り合いであったこと、上場したばかりの株式への影響、政府からの起訴で逮捕される可能性がその決断を鈍らせる。

ウォーターゲート事件でも記者ボブ・ウッドワードがFBI副長官のマーク・フェルト(=ディープスロート)と個人的な知り合いであったことから情報を得ることが出来たが、本事件でも記者ベン・バグディキアンが告発者ダニエル・エルズバーグとランド研究所で同僚であったところから文書を手に入れることに成功している。

こういう事実から「やっぱり人脈なんだなぁ」と思わせると同時に、本作はこの人脈が足枷になることもまた扱っている。グラハムがマクマナラと友人関係であったのは知っていたが、ベン・ブラッドリーがJFKと友人だったのは見て初めて知った。上の方は繋がってるんだな……。

このしがらみと逮捕されるかもしれないという恐怖と戦いながら「報道する自由」を勝ち取ったラストは、ノンフィクションだからそうなるとは分かっていても最高に興奮する結末である。当然と言えば当然の結末かもしれないが、政府はそんなことも捻じ曲げてくる強烈な力を持っていて、報道する自由は国民がそれと戦うために必要な武器なのである。

最後にニクソンが「ワシントン・ポストの奴らはもう金輪際ホワイトハウスに入れるな!」って言ってるシーンで「もしや……」と思ったら、警備員が巡回してるシーンに変わって「おお、やっぱり来たか」ってなった。ここで事件冒頭だけ書かれたウォーターゲート事件をワシントン・ポスト側から描いた映画が「大統領の陰謀」(記事)、FBI側から描いた映画が「ザ・シークレットマン」(記事)である。両事件はワシントン・ポスト(報道)vsホワイトハウス(政府)の連続した事件としてみる方がやっぱり物語的には面白いよね。

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