ドリーム (映画)

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1962年のアメリカ初の有人宇宙飛行計画であるマーキュリー計画で重要な役割を果たしながらも、語り継がれていなかった人物たちについての伝記映画。大抵の伝記映画は暗くなりがちだが、この作品はかなり明るい成功譚として描かれている。

1962年に米国人として初めて地球周回軌道を飛行した宇宙飛行士ジョン・グレンの功績を影で支えた、NASAの3人の黒人系女性スタッフ、キャサリン・ジョンソン、ドロシー・ボーン、メアリー・ジャクソンの知られざる物語を描いたドラマ。ソ連とアメリカの宇宙開発競争が繰り広げられていた61年、米バージニア州ハンプトンにあるNASAのラングレー研究所に、ロケットの打ち上げに必要不可欠な計算を行う黒人女性グループがいた。なかでも天才的な数学の才能をもつキャサリンは、宇宙特別研究本部の計算係に抜てきされるが、白人男性ばかりのオフィス環境は、キャサリンにとって決して心地よいものではなかった。一方、ドロシーとメアリーもそれぞれ、黒人であるというだけで理不尽な境遇に立たされるが、それでも3人はひたむきに夢を追い続け、やがてNASAの歴史的な偉業に携わることとなる。 – 映画.com

実在の人物を題材にした伝記映画。だが大抵の伝記映画と違うところは登場する人物がほとんどの人に知られていなかった(なにせ”Hidden” Figuresだしね)無名の人間であること、そしてそれが幸いしてかかなり明るい作風に描かれていることだ。ノンフィクションは暗さや悲劇を押し出した作風が多く、かつそれが評価されやすいジャンルであるがゆえに、かなり直球の成功譚というだけでもなかなか異質である。

60年代のアメリカを描き、当時の人種差別を扱う作品であるが、あちこちにColored(有色人種)と書いているのは知っていても唖然としてしまう。主人公ら3人はそれぞれものすごい才能を持っているのだが黒人であり女性であるがためにこの差別に阻まれて、当初まともに評価されていない。しかし徐々にNASAの宇宙事業において必要な人材として認められていく。

個人的にNASAに導入されたIBMの機械でFORTRANの第一人者になったドロシー凄え……って感じなのだが、ここで登場しているメインフレームコンピュータのIBM 7090については日本IBMが特集記事を組んでいる(映画に登場するコンピューター IBM 7090を紹介 – 日本IBM)。映画だとIBMの機械初めて導入するみたいな雰囲気だった気がするが、実際にはそれより前から色々導入してたようである。

途中ガガーリンの世界初の有人宇宙飛行成功に衝撃を受けるNASAのシーンが入って、単に実際に起きた有名な事件だから出てくるのかと思っていたが、よく考えると「ソ連に先を越されてしまったのでNASAはなりふりを構ってはいられなくなった」からこそ、黒人女性でも起用される流れが生まれたんだな。南北戦争の奴隷解放宣言が人道上の目的だけで成立していなかったのと同様に、地位向上の機会の背景にはこういう状況がつきものなのかもしれない。

ところでこの作品、日本上陸の際に邦題で一度もめている。

映画「ドリーム 私たちのアポロ計画」(原題:Hidden Figures)のタイトルが、6月9日「ドリーム」へと変更になることが決定した。「私たちのアポロ計画」という副題に対し、「アポロ計画ではなく、マーキュリー計画を扱った作品であり、内容に即していない」といった批判の声がファンから上がっていた。 – IT Media ビジネス

いやもう、アポロ計画出てこないのに(映画のエピローグに言及はあるけど)タイトルに使ってしまう業界のセンスには脱帽である。Hidden Figuresというタイトルは、数字と人間という二つの意味があるfigureという単語でダブルミーニングにしているんだから、カタカナで「ヒドゥン・フィギュア」(複数形が単数になるのはこの際許そう)にすればよかったのに……。

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