戦争のはらわた

オープニングの明るい童謡とそれに似つかわしくない映像のコラボからさっそく不吉な予感満載。第二次大戦での独ソ戦が舞台となる。

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この映画で初めて知ったが、日本人は蝶々として知っている童謡(蝶々、蝶々、菜の葉に止まれ♪というアレ)は、もともと「幼いハンス」というドイツの民謡だそうである。童謡なのに歌詞がモロに戦争の内容なのだが、あちらの人たちはどう思っているのだろうか?

襲撃されるたびにスローモーションが多様されるのが印象的だが、どうやらこれは監督のサム・ペキンパーがワイルドパンチで確立した作風らしい。他にもシュタイナーが負傷して一度銃後に戻るシーンなど独特な表現が多い。

正直戦争映画は誰を焦点にして見ればいいのか分からないまま終わることが多いのだが、この作品はシュタイナーとシュトランスキーのキャラや立ち位置が明確で、この二人を中心に見ればよいので分かりやすかった。

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酷いことが散々続いて、その終り方はなんだか唐突である。将校なのに銃に弾丸を込めるやり方すら知らないシュトランスキーに……というよりはおそらくそんなことが起きているドイツ軍の現状への「あまりに酷すぎて笑いしか出ねえよ」とばかりのシュタイナーの爆笑で幕を閉じる。

そこから続くエンディングはオープニングと同じように童謡「幼いハンス」が流れ、明るい音楽なのに猛烈に不吉な後味を残す。ベルトルト・ブレヒトの引用も意味深である。

ちなみにこの作品、戦場の黄金律というタイトルで続編があるそうだ。戦争映画の続編って初めて聞く(大抵の場合作りようがないだろう)がどういう内容なんだろう……。

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