怜-Toki- – めきめき 小林立

小林立の美少女麻雀漫画「咲 -saki-」のスピンオフ。一応敵キャラでありながら、限界を超えて能力を使ってズタボロになりながらラスボスに挑むという主人公かよお前みたいな扱いだった怜とその相棒キャラである竜華の過去を描く。1巻と同時発売された本編16巻も半分くらい怜が中心だったし編集部の推しなんだろうか?

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概要

「一巡先が見える」少女、園城寺怜。小学生だった頃の彼女は、自分の未来についての一巡先を知らなかった──。めきめきが描く「咲-Saki-」スピンオフシリーズ、ついに開幕──!! - ビッグガンガン

各巻感想

1巻

思ったより一般家庭の出身であった(名字のせいでお嬢様なのかと思ってた)怜が小学校5年になり同じクラスになった竜華と会う。アメリカのスクールカーストでいうのなら怜がNerdで、竜華がQueen Beeといった感じである。その竜華がなぜか怜に接近。おままごとの『お友達』になろう、というもう百合確定みたいな約束を迫ってくる。

そういうわけで思ったよりすごい百合漫画だった。てっきりまんがタイムきららに掲載されている日常ものみたいな内容だと思っていたのだが、少女同士の人間関係と心理にスポットが当たる思いのほかシリアスな内容である。咲-saki-本編ってあんまり百合してないなぁと思っているのだが、これのストーリーを小林立が書いているのなら立派な百合漫画家だなぁ……。

しかしその代わり、登場人物がこんなに湿っぽい性格してたっけ?という気持ちになる。特に竜華の異質感が凄い。この子本編だと大阪のオバちゃんみたいなキャラだった(でその相棒の怜が「おっちゃん」扱いだった)と思うのだが……。ストーリーを百合にしたからそっちに引っ張られてるんじゃないかな。

この作者漫画力あるというか心理の表現が印象的だ。今までとは違う毎日が始まろうとしてるのコマで四角い積み木が牌の暗示になってる(p57)とか、1巻の締めでブランコの鎖が二人を分けるように使われている(p214)とか、こういうの凄いすきなんだよぁ。

大切な人にはせーへんからなの後の怜の表情も凄い(p39)。こういうの描ける人よく連れてきてくれたなぁ。というか麻雀シーンのエフェクト表現とか見るに全体的に絵が上手い。美少女だけ描ける人じゃなくて良かった。

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2巻

相変わらずこの二人こんな性格してたかな?って感じの描写であるが、竜華のファッションセンスだけは小林立ワールドをしっかり踏襲している。裸ワイシャツで玄関開けても誰もツッコミ入れないんだなこの世界……。

本編につながる要素として怜の未来視の能力の予兆が現れ始めるが、小学校高学年で発覚してたのにそういう能力があるって高校一年生になるまで隠してたのなんなんだよ……と思わずにいられない。また全く予想外なことに二条泉が登場。本編の描写を見る限りそんな前から知り合いであったようには思えないのだが……。性格も全然違うように見える。本編とは別世界と考えた方が無難だなぁ。

3巻

  • 怜・竜華両方の母親が登場。不穏な前振りがあったにしては、エキセントリックながら竜華ママ友好的な人だった。一方で怜の母親は凄い常識的な人。
  • 竜華が母親に服が派手だって指摘することがあるらしいが、りつべ流露出ワールド(胸デカっ!とは言うが、胸元空きすぎとは誰も言わない……)のこの世界で一応そんな考えがあることが驚きだ。授業参観後、清水谷家で料理するシーンで竜華が裸エプロンだったように見えるんだけど気のせいかな……。
  • 前巻で泉の登場唐突だなと思っていたが、今度はセーラまで出てきた。千里山女子大集合過ぎて、こうなるとStylipsじゃない奴出てくるのかって感じなんだが、浩子愛宕姉妹関連の方で出る方がよさそうだな。

4巻

  • 千里山メンバー集結しすぎで既存キャラに展開頼りすぎだろって感じだったが、洋榎や愛宕プロ出てきてちょっと「おっ」ってなった。なんでチーム組んでるのかとかは腑に落ちるなこれ。
  • 表紙裏で愛宕プロが松実家の墓に手を合わせてるシーンがあるが関係あったのか。本編の設定あんまり考慮してないなって感じる部分が多いスピンオフなのだがこれはりつべ監修っぽい?

5巻

竜華の回想が大半を占める答え合わせ巻。執着する理由ってなんだと思っていたら割と偶発的な経緯だった。こう描かれると怜竜より、父親の存在が欠片も感じられない清水谷家の事情の方に興味が行くのだがそっちにフォーカスするだろうか。

この巻が出る少し前にりつべの「この世界は半分くらい同性婚」発言があるので我々が考える家庭とは色々と違うのかも知れない……というかもしかしてこの辺の描写でりつべに質問が集中した結果あの回答が来たのでは?

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