伝道の書に捧げる薔薇 – ロジャー・ゼラズニイ

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神話・伝説をモチーフにした作品を得意とするSF作家ロジャー・ゼラズニイの代表的な短編集。

この著者の短編集の中で一番有名な本である。サンリオ文庫のロードマークスとかも読んでるのに、絶版になってるし機会が無くて読んでいなかったのだが、最近になって早川書房が有名だけど古くなっている作品を新版で出していてその中に含まれていたので読む機会を持つことが出来た。

原文と日本では表題が異なる。

原文版の表題である「その顔はあまたの扉、その口はあまたの灯(The Door of His Face, The Lamps of His Mouth)」は金星の海に住む怪獣イッキーを捕らえる話である。最後のシーンで捕らえてすぐにお話が終わるので拍子抜けというか、あっさりとした描写に「これ捕まえたでいいんだよな?」という感じになってしまうが、裏表紙の解説に「詩的に描き~」という文章があるので原文だとそういう表現になるのかもしれない。

邦題の「伝道の書に捧げる薔薇(A Rose for Ecclesiastes)」は、ゼラズニイが「これは評価されないだろう」と判断して表題にはしなかった作品。確かに火星のラブロマンス的な話だが文化接触の話として評価されているということかな。途中で日本や東京という単語が出てくるが、当時どういうイメージだったのだろうか。

他の作品に関しては「十二月の鍵」が、宇宙のどこにも生存できないという言葉が物理的にだけでなく、社会的な意味も含んでいたというオチで面白かった。後半に数ページ~十ページくらいしかない短編がいくつかあるが、こっちは大半がよく分からないまま終わってしまった……。本書に限った事ではないのだが、ゼラズニイだと特に原文の表現が上手く日本語になっているかどうかが何とも言えないのでそのあたりにもハードルがあった気がする。

なおゼラズニイは本作品の翌年には「わが名はコンラッド」でヒューゴー長編賞、さらに一年置いて「光の王」もヒューゴー長編賞を取るという快進撃を果たす。両方既読であるが、数年でああいった作品を矢継ぎ早にできるのは相当なものである。

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