サザーン・リーチ1 全滅領域 – ジェフ・ヴァンダミア

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こんな情報を調べる程度なら、だれであっても、たいしてむずかしいことではないかもしれない。それはわかっている。だが、この日誌を読む人間には、わたしみずからこう記すことで、わたしが客観的で信用のおける人間であるとみなしてもらえるのではないかと思う。 (p90)

2015年ネビュラ長編小説賞受賞作品で映画化が決まっている。サザーン・リーチ3部作の1巻目で、異常な生態系を有する謎の領域<エリアX>に入った調査隊のメンバーが目にする異様な光景を書いているが、その設定からは想像もつかないほどに主人公の内面描写に比重が置かれている作品でもある。

突如として世界に出現した謎の領域〈エリアX〉。そこでは生態系が異様な変化を遂げ、拡大を続けていた。監視機構〈サザーン・リーチ〉に派遣された、生物学者をはじめ女性4名からなる調査隊は領域奥深く侵入し、地図にない構造物を発見、そしてそこに棲む未知の存在を感知する。さらに進むべきか、引き返すべきか? 無事に帰還できた隊は過去に存在しない……。大型エンタテインメント〈サザーン・リーチ〉三部作開幕 – ハヤカワオンライン

映画化が決まったというニュースを見て予習しておくか、ということで読んだ。

SFの賞も取っているからてっきりハヤカワ文庫SF(SFファンにはおなじみの水色背表紙)だと思っていたら、ハヤカワ文庫NV(白い背表紙)だったので驚いた。NVは海外一般小説カテゴリで、SFでもファンタジーでもミステリでもノンフィクションでも日本人作家作品でもないものがこれに入るのだが早川書房的にはSFじゃないんだろうか。心理学者が催眠術使って調査隊のメンバーを意のままに操っている設定は、これ西暦2014年のSFかよって気にはなったが……。ジャンル的にはホラーが一番近い気がするんだよな。

早川書房の紹介には大型エンタテインメントとか書かれているが、劇中のトーンは凄い低い陰鬱とした話である。エリアXに入った調査隊のうちの一人である根暗な女性生物学者による手記という形で語られるが、この記事の冒頭の胡散臭い引用からも何となく読み取れるように、いわゆる「信頼できない語り手」と言われる要素を含んでいる。

調査隊が結局主人公以外全員死亡して、エリアXの影響で生物学的に(そして精神的にも)変容を遂げていく主人公が異常な現象に見舞われるのだが終盤のシーンはほとんどなにが起こっているのか分からない。3部作の最初だから主観という形でぼかしてるのではないかという気がするが、これ映画化で映像化したら余計に雰囲気作品になりそうな予感がする。

2巻目は調査隊を派遣した機構側の視点で書かれる話らしいが、経験上SF作品の3部作で引っ張ったオチで面白かったことってほとんど無いから、とりあえず映画待ちかな……。

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