バービーはなぜ殺される – ジョン・ヴァーリイ

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人体改造が当然となった未来世界での物語を手掛けることで知られるSF作家ジョン・ヴァーリイの短篇集。「まったく同一の外見を持った人間の集落で起きた殺人。殺したのも殺されたのもバービー」という、ヴァーリイならではの設定を持ったミステリ仕立ての表題作に興味を持って読んでみた。

概要

全9篇が収録された短篇集であるが、このうち「ピクニック・オン・ニアサイド」は八世界全短編1巻(記事)に、「びっくりハウス効果」「イークイノックスはいずこに」「ビートニク・バイユー」「さようなら、ロビンソン・クルーソー」「ブラックホールとロリポップ」は八世界全短編2巻(記事)に収録されていて既読である為、改めて読むのは「バガテル」「バービーはなぜ殺される」「マネキン人形」の3編。

各エピソード

 

バガテル

ジョン・ヴァーリイ作品ではお馴染みのアンナ・ルイース・バッハが主人公。原子爆弾と化した、脳髄以外はすべて機械のサイボーグが街中で爆破予告を行い、警察署長のアンナと爆弾専門家のバークスンは彼の爆破を防ごうとする。

彼の小さな宮殿の中で、彼は椅子に腰を下ろした。椅子は彼の頭がはっきりするまでマッサージをし、顔を洗い、髭を剃り、お化粧し、爪を切り、香水を振りかけてくれた。それから、本物と寸分違わぬゴム製のイミテーションを使って、彼とセックスしてくれた。ハンスは女性が苦手だった。 (p25)

作中の内容にほぼ関係ない一文なのだが、サラッと書かれるだけに余計に印象深い。これこそジョン・ヴァーリイという感じの文章である。

バービーはなぜ殺される

再びアンナ・ルイース・バッハが主人公。「教徒全員がまったく同じ外見に同一化する」という教義を持った統一教会において殺人が起こり、容疑者も被害者もおなじ「バービー」という殺人事件の解決に警察であるアンナが調査に乗り出す。バービーという名前は教祖の名前ではなく、現代の我々が良く知っているバービー人形から来ており、自称ではなく報道機関が揶揄して付けたという設定。

さっきの女は倒錯者だ。と言っても、その定義は、統一教徒の中でしか通用しないのだが。あの女と、おそらく殺されたバービーたちは、個性がフェティシズムの対象になるのだろう。そのことに思い当たったバッハは、それならばなぜ居留地を離れて好きなようにしないのか、とまず考えた。しかし、キリスト教徒が売春婦を買うのは何故か?こたえられない罪の味があるからだ。外の広い世界に出れば、こうしたバービーたちのすることはほとんど意味がない。ここにいる限り、それは最悪の罪であって、何物にもかえがたい快楽なのだ。そして、誰かがそれを憎んだ。 (p141)

殺す側も殺される側も同じ人間(と彼らは考えている)はずなのになぜ……という部分がフックになっている話だが、もう少し突っ込んだテーマが出来そうだったなぁという印象である。

結局犯人とは会うが、警察と統一教徒との諍いを最小化するために相手を逃す形で終了して、なんとなくモヤモヤする話ではある。最後の「(被害者に目星として付けた跡が)もしも消えないのなら……」というくだりがいまいち分からなかったのだが、火種はこれからも残る、で良いのかな。

マネキン人形

精神病患者と会話する話……だと思っていたのだが、SNSにこういうこと言って炎上する奴いるよなぁとか思っていたらよく分からない方向に話が進んで意味不明に終了した。感想も書きようがない……。

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