お金は寝かせて増やしなさい – 水瀬ケンイチ

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インデックス投資家にはおなじみのインデックスブロガー水瀬ケンイチ著。基本的にまったく知識の無い読者向けの書籍であるが、元々インデックス投資って必要となる知識が長年やっている人間でも初心者向けの範囲からたいして逸脱しない。なので知識のアップデートを兼ねて読んだ。

金融のど素人でもプロと互角以上に戦えるインデックス投資の入り口から出口戦略まで一挙解説!お金が勝手に増えていく仕組みのつくりかたを全公開! – フォレスト出版

既に山崎元との共著である

これとか、本文中で出てくるバートン・マルキールの「ウォール街のランダム・ウォーカー」、チャールズ・エリスの「歯医者のゲーム」、ジョン・C・ボーグルの「マネーと常識」も既読である。なのでインデックス投資の基本的な考え方は、まぁ大体既知のものであるのだが、しばらく離れていると忘れてしまうので時々アップデートされた情報に目を通したくなる。それで読んでみた。

この本の特徴の一つとしてETFを扱っていないことが上げられる。こちらの方がコストが低いのだが、ここまで説明すると紙面を割く上に初心者が混乱するということかもしれない。何より一番の理由は定期購入できないので、本書で散々指摘している論理ではなく精神的な理由で運用してしまうきっかけになってしまう、ということだろう。

債券は、金利が上がると価格は下がり、金利が下がると価格は上がるという関係にあります。そして、日本では長らく超・低金利状態が続いています。  しかも、2017年以降、日本の中央銀行はいわゆる「マイナス金利政策」をとっています。これ以上さらに金利が下がる(価格は上がる)方向よりも、金利が上がる(価格は下がる)方向に大きな余地があると考えられます。  また、マイナス金利は明らかに異常事態なので、もし正常化するとするならば、金利は上がる(価格は下がる)方向に動く可能性が高いと思われます。  ここで国内債券インデックスファンドに投資してしまうと、金利上昇局面で国内債券インデックスファンドの基準価額は下がることが運命づけられてしまうようなもので、非常に買いにくい局面が続いているのです

最新の状態を反映した情報で一番有用なのは、国内債券をアセットに加える話題のこの部分かな。国内債券の配分はリスク許容度の調整という意味で大きな意味を持つが、マイナス金利になっている現在の日本では迂闊に入れづらい、と。本書ではこの後、その中でも奨められるのは「個人向け国債変動10年」としている。

私も以前は、新しいインデックスファンドが登場する度に、「乗り換えようか? どうしようか?」といつも悩んでいました。  結論から言います。  現在(2017年11月)のコスト水準であれば、すでに投資した分はそのまま置いておいて、今後積み立てる分から新インデックスファンドに乗り換えるだけでよいです。

後は、より条件のいいインデックスファンドが登場した時にそれに乗り換えるべきか?という部分。気になっていたことだったのだが、信託報酬年0.95%・信託財産留保額0.3%のファンドに元本100万・利益30万で持っていたものを、信託報酬年0.20%・信託財産留保額0のものに乗り換えた時、リターンが年5%計算で逆転するのは8年後であるが、これが最近の信託報酬0.1%位の差だと50年経っても逆転しない試算だそうだ。それなら悩む必要無いね。

また、最後にインデックスファンドを15年やってきた著者の記録がダイジェストで掲載されている。日本ではまともにインデックスファンドをやれる環境が出来てから10年も経っていない+やっていた人間もリーマン・ショックで退場した人間が多かった、という理由で初期から15年間インデックス投資をしていた人間自体が珍しい。なのでかなり貴重な資料と言える。

リーマン・ショックのマイナス53%もなかなか凄い(ま、世間のアクティブ・ファンドはもっと酷かったんだけれども……)が、2ちゃんねるに著者を罵倒する言葉が書かれていたって言うのが凄い。この時点で有名人だったのかな?好意的だった常連が中傷コメントを書いてきたのがIPアドレスで分かったってのも切ない。結局原本が回復したのは2012年だそうなので、4年くらいマイナス続きだったわけか。

ちなみにマイナスになった2008年に著者がやっていたのは、怒涛の円高を利用しての海外旅行。こういう精神があるから続くんだろうなぁ。見習いたい。

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