ブレンパワード

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俺、ブレンパワード視聴者になってしまった……。機動戦士ガンダムで有名な富野由悠季が監督を務めるロボットアニメ。1998年放映作品。

元々同監督の作品は富野節と呼ばれる独特なセリフが特徴的だが、この作品はその代表的な作品で、印象に残る言い回し(ファンからは作中用語から『オーガニックな台詞』とか言われている)の嵐で、見ているとクラクラすること必至である。

そんなわけで半分くらいは物見遊山で見てみたが、家族の在り方に対するコンプレックスに根差した激情の応酬が最後にはハッピーエンドに終わる感慨深い作品でもあった。

全ての生体エネルギーを奪って、宇宙に飛び立とうとする謎の巨大生命体オルファンを巡って、地球を捨てオルファンに乗り込もうとするリクレイマーと、それを阻止する為に建造されたノヴィス・ノアの戦いを縦軸に描かれる。登場人物全てが、歪んだ家族関係に悩むか、家族を失った境遇であり、親子問題、家族問題を横軸にしている。 – 公式サイト

ブレンパワード前後の富野由悠季監督作品を見ていくと

  • 機動戦士Vガンダム:1993年4月から一年間
  • ブレンパワード:1998年4月から半年間
  • ∀ガンダム:1999年4月から一年間

こんな感じである。Vガンダムという作品はサンライズがバンダイに身売りをする際、その交渉の条件として人気シリーズであるガンダムを作らなければならなかった、という政治ありきの商品で、それが制作体制に大きく悪影響を与えたうえ、さらに富野はなぜそうなったかの事態をオンエア後に知らされるという状態だった(この辺は「それがVガンダムだ」というムックのインタビューで詳しく書かれているらしい)

そういう経緯で最悪の精神状態となってしまった為か、次のTV放映作品であるブレンパワード放映までに4年間かかってしまった(ただし途中でOVAを手掛けている)。この作品はそんな状態から再び作品を作るに至った富野由悠季リハビリ作品なのである。

『オーガニックな台詞』と呼ばれる独特のセリフ回しは期待した通り、滅茶苦茶印象的だった。散々笑いながら見ていたわけであるが、見ていくうちに登場人物の本音が濾過されずにそのまんま発露されていて、その激情の元には家族へのコンプレックスがあることが伝わってくるのでなんだか切なくなる。とはいえ「クリスマスプレゼントだろ!」のある9話と、「ユウのめっちゃ長い独り言」「ジョナサン流の強がり」がある14話はやはり神回である。とても忘れられそうにない。

この作品の面白いところはネット上で話題になると最初はセリフネタで笑っているのに、そのうちその背景となる家族関係の描写や解釈で毎回議論になるところだ。上手くいっているとはいいがたい家族の在り方をどこまで許容できるのかの基準が人によって違うので、いろいろな意見が出てくるのである。

終盤の展開はちょっとふわっとしているというか、若干宗教じみているといえないでもない。それでもジョナサンとアノーアの和解、直子と翠の和解を経てオルファンが人類との共存を選んだエンディングは「皆殺しの冨野」と言われていたとは思えないくらい、人間に肯定的な終わり方だった。

ここから監督する作品が『∀ガンダム』と『キングゲイナー』(両方視聴済み)に続くわけだが、明るい作風はここから始まっていたんだなぁ。Vガンダムで鬱屈したところからの復活が創作を通して見られる貴重な作品である。

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